No021 室内緑化カーテンで幼年期はよく寝、成長も早い。

就眠運動のからくり(絡繰)
IMGP8373.jpgNo016で就眠運動についての詳細を記載していなかったので、ここで、就眠運動を研究した人を紹介する。19世紀後半から20世紀初頭にかけて、進化論において有名なチャールズ・ダーウィン(1809~82)である。

その著書の中に、植物の葉又は小葉の基部には,葉枕ヨウチンと呼ばれる少し膨らんだところがあり、中心には維管束イカンソクが集まって走り,周囲は厚く柔らかな細胞群によって囲まれている部分が屈曲すると書かれてある。
 植物細胞は細胞壁が弾力を持っているので,水を吸うと大きくなり,水を排出すれば小さくなり,葉枕の上半分の細胞群が水を吸って大きくなると,葉身は葉枕の処で下方に屈曲し,対生するもう1枚の葉に近づき,眠った状態になる。反対に昼間の開いた状態は,葉枕の下半分の細胞群が大きくなると起こると書かれてある


IMGP8320.jpg では,運動細胞と呼ばれるこのような細胞は,どのようにして大きくなったり,小さくなったりするのか。両方とも溶液の持っている浸透圧に由来する。
 植物には、溶液を運ぶ浸透圧(ポンプ)があり,この浸透圧が盛んに働いて溶液を細胞内に組み入れ,細胞内溶液濃度が増し,溶液が入って来て細胞の容積は大きくなる。
 一方,細胞膜には,溶液が恒常的に漏れ出て行く性質がある,程度が大きくなると,細胞内の溶液が少なくなり,釣られて水も外に出て,細胞は小さくなる。このような細胞膜の性質の変化は,周囲の明暗の交代によって制御されている。これが葉枕を持った植物の就眠運動の絡繰である。

しかし明暗の交代だけによって制御される訳ではないことも分かっている。24時間周期の明暗交代によって葉が開閉している植物を,光をずっと当てっ放しにするか,ずっと暗黒の中に置いても,それでも数日間は開閉し続ける。
 周期も約24時間であり,正常な場合と変わることはない。このような,ほぼ一日の周期でリズミカルに繰り返される変動を概日ガイジツ性のリズムと云い,生物のいろいろな性質に見ることが出来る。
 例えば,人間での時差ボケ現象にも似ている。これは体内の概日性リズムによるものと云われる。植物の葉の開閉運動(就眠運動)は,運動細胞や屈曲の基になっている生長帯の細胞の性質が,概日性のリズムに従って変わって行くのが原因の一つであると云われている。

 何故夜に葉を閉じるのか
 
何の目的があって植物はこんな運動をしているのか。葉は光合成器官なのですから,昼間の水平に開いた状態は,必要な光をよく吸収するのに都合が良いと説明出来る。一方,夜になると何故葉を畳み込むかについては,未だ分かっておらず,二つの仮説がある。一つは夜,放射冷却によって葉から大気中へ輻射フクシャ熱の逃げるのを防ぐためといわれるものと。
IMGP8387.jpg 二つ目は、植物の中には,一日のうちの暗黒の時間(夜)が一定以上長くならないと花芽カガの形成(これによって開花に至る)が起こらない短日植物があり、短日植物においては,暗期に月の光位の明るさでも光が当たると,花芽形成が阻害される。
 葉を閉じることによって月光に当たりにくくしているのだとする説。また,暗黒の時間が一定の長さより短くならなければ花芽を形成しない長日植物は,時期尚早の生殖を防止しているとした諸説。何れの仮説が正しいのか定かでない。
上記2枚の写真は、幼年期の就眠するアイラトビカズラで寝付きが良く、睡眠時間も青年期より長いし成長も早い、人間の子供にも似ている。
 下段写真は室内でアイラトビカズラによる緑化カーテンを創作し観察している、身近に緑に触れ癒されている。この環境を少しお裾分けしたい心境で撮影した。

Comments
  1. 麻衣メロ | 返信
  2. k | 返信
  3. 匿名 | 返信
  4. ナギ | 返信

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