No033 植物の葉は、なぜ緑色をしているのか?

アイラトビカズラの葉も緑色をしている
和樹 植物といっても、カビやキノコのようなものもあるし、コンブやワカメのような海藻もある。
しかし例外的なグループを除けば、植物は一般的に根、茎または幹、葉の三つがその本体であり、その本体の上にば季節により花を付ける。アイラトビカズラのように優曇華と言われ不定期に咲く花は例外である。
 
この花という器官は、植物がその子孫を残すための生殖器官であって、栄養物の製造には関与していない。
根および茎(幹)は植物体を支え、かつ土壌中から吸収した水分やその中に溶けた物質を送ったり、逆に葉で完成した栄養物を輸送したりする通路として存在している部分で、直接、栄養物質の製造にはほとんど関係がない。
 栄養物質の製造工場は葉に設置されていて、植物体の中で、最も重要な部分を受け持つている。ふつう栄養素のの中で、澱粉、糖類などと呼ばれる炭水化物、脂肪類、それに蛋白質の三つがもっとも重要である。それにビタミンとかミネラルとかを加えたものを総称して栄養素というのが常識であろう。
 動物の栄養素と植物の栄養素とは必ずしも量的には同一ではないし、細かく調べればいろいろな違いがある、基本的には炭水化物、脂肪、蛋白質を三大栄養素といつてよいだろう。このうち脂肪と蛋白質は炭水化物を経て、さらに合成されていくものであるから、葉の工場のうち、いちばん基礎的な工場は炭水化物の製造工場である。
 炭水化物とはその名のとうり炭素(C)と水(H2O)との化合物であって、元素としては炭素、水素、酸素、つまりC・H・Oの三種類の化合物である。大気の組成は気体の窒素N2と酸素O2との混合物で、その混合比率は地表面から標高数キロメートルのところまでは、地球上のどこでもほとんど変化がない。
二酸化炭素CO2は窒素と比べると、大気中の存在はごく微量ではあるが、大気の量全体からいえば無尽蔵と言ってよいだろう。水H2Oは、極地とか砂漠とかの特別の地域を除けばやはり無尽蔵である。
 この二つの無尽蔵の物質、二酸化炭素CO2と水H2Oをうまく化合させれば、ブドウ糖C6H12O6をつくり出すことは理論上は簡単なことであり、この糖類をさらに多数結合させれば澱粉となるはずである。しかし現在の宇宙時代、ハイテク時代の科学技術の粋を集めても、残念ながら、CO2とH2Oを結合させることは出来ない。
もし人間の技術でこれが可能になれば、我々は合成化学工場で、コメでもムギでもつくり出すことが出来るようになろう。 ところが、植物の厚さ一ミリメートルしかない葉の中で、このCO2とH2Oの合成が数億年前から始まっているということは、驚異に値すると同時に、自然の力と比べれば人間の技術はまだかわめてきわめて幼稚であると言わざるを得ない。
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 厚さ一ミリにも満たない植物の葉の中で、さらに一ミリの百分の一ぐらいの一個一個の細胞の中で行われている合成の過程には、一過程ごとにその合成を促進し、調整している「触媒」という物質が関係して、ごく徐々に合成が進行していることが少しだけわかっている。
 
しかし、植物の中で行われているCO2とH2Oの化合に必要な「触媒」は、複雑な構造をもった有機触媒の巨大分子で、通常「酵素」と呼ばれる物質であるといわれる。
CO2とH2Oが合成されていく過程で,どのようなな物質が作られ,さらにそれが変化して,どんな中間生成物が出来るかも判明し,それに関係する「酵素」の存在が確かめられたとしても、「酵素」そのものを我々の手中におさめない限り,それも何十種類もの「酵素」すべてを手中に得なければ植物のちいさな工場の機能を発揮することは到底出来ないのである。
 太陽の光を動力源とするCO2とH2Oの合成は「光合成」という。その間に立ちふるまう「酵素群」のうち,一番重要な「酵素」は「葉緑素」と呼ばれ,この存在によって、植物の葉はだいたい緑色をしている。したがって緑色の葉こそ、「生産者」の実態である。常緑植物は一年中休まず酵素の生産者になっている優れものである。

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